静岡県立朝霧野外活動センター
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あれから300年後



「田舎に泊まろう」というTV番組がある。有名無名の人が地方の町や村を訪ね、見知らぬ人の家に「今晩泊めて下さい」といって、一宿一飯の恩義にあずかるというものだ。
すんなり泊めてもらえる場合もあり、何軒も何軒も断られてやっとの思いで泊めて貰える場合もあるという具合で、見ている方としてもそのハラハラドキドキぶりに一喜一憂するのである。
そして、いろいろな苦労の末に、とりあえず出演者はみんな泊めてもらえるというのが、この番組の凄いところでもある。
もし、我が家にそんな人が来たらどうするだろう-あれは、本人だけじゃなくカメラを撮す人や音声を録る人などがセットでくっついている訳だし、そのTV番組の存在も知っているので、興味本位で泊めてあげても良いかなと思ってみたりもする。
しかし、ある日突然見知らぬ人が一人で訪ねてきて、「申し訳ないが、一晩
泊めて下さい」と言ったら・・・こんな恐ろしいことはないと思う。


ところが、江戸の俳人芭蕉と曽良のコンビは、「奥の細道」の旅の途中「雨
が降り、日が暮れてきたので農家に一夜の宿を借りた」とか「宿を借りようとするが、誰も貸してくれない。それでも何とか貧しい家を借りて寝た」などと結構知らない人の家に泊めてもらっているのだ。そして、極めつけは「次の日もまた旅を続けるが、目的地までの道が不案内なので、草を刈っている農夫に道を聞いたら、『自分の馬を貸してあげるからそれに乗って行きなさい。道は
馬が知っているから、目的地に着いたら馬だけ帰してくれたら良いから』と言って馬を貸してくれた」と言うのだ。
今なら、「俺の車に乗っていきなよ、カーナビがついているから大丈夫さ、
車は適当なところに止めておいてくれれば良いから」と言っているようなものだ。この困った人に対する親切心と無警戒さはどうだろう!単にお人好しの所業と言うには度が過ぎている。と平成の現代人は思ってしまう。
しかし、同じ日本の話だ、恐るべきは江戸時代の元禄人である。但し、両者の間には300年ほどの時間の隔たりがあることも確かである。

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