静岡県立朝霧野外活動センター
指定管理者:日本キャンプ協会グループ
〒418-0101 静岡県富士宮市根原1番地 TEL 0544(52)0321 E-MAIL asagiri@camping.or.jp

豊かな自然に囲まれて



朝霧に来て三つ目の季節を迎えた。真っ白な富士の麓でゆっくりと芽吹く生命の力を感じさせてくれた春。夏が来るまでの比較的滞空時間の短い春がここにはある。小振りだが楚々とした姿のピンクのフジザクラ、黄色の花をたくさんつけるヤマブキや遠くからでも鮮やかな紅紫色を見せるミツバツツジなどがこの6万5千坪の野外活動センターの中にしっかりと位置を占めている。もちろん、フキノトウや土筆、タラノメ、ゼンマイなどの山菜も豊富にあって、それらをちゃんと味わうことはスタッフの必修科目となっている。白い十文字のヤマボウシが咲き、木イチゴの実が紅く熟れると梅雨明けで、子どもたちの声が弾む夏がやってくる。  
高原とは言っても、さすがに夏の日中は暑い。空気がサラッとしていいでしょうという人はまだまだ朝霧人とは言えない。結構蒸し暑い日だってあるのだ。風のない日中は海抜860mなんて何の役にも立たたないくらいに暑い。そして、朝霧高原名物の濃い霧もこの季節に出現するモンスターだ。従って、この季節に富士の姿を仰ぐことが出来るのは日ごろの行いの良い人に限られる。それでもカーッと晴れた空に入道雲を従えて立つ富士の姿を見ることが出来ると「雄渾」と言うのはこのようなことなのだと納得がいく。またこのシーズンは富士の姿は見えなくても、子どもたちの歓声と澄んだ瞳に出会うことの出来る素晴らしい季節でもある。
秋は夏に覆いかぶさるようにやって来た。太宰治が「富士には月見草がよく似合う」と書いたのは三つ峠からの富士を見ながらであったらしいが、月見草が終わる頃から朝夕と日中の気温差が大きく感じられるようになった。ふと気づくと、フジアザミの花が大振りの花を重そうに咲かせている。目を上げると富士の山頂には、昨日までなかった雪化粧がうっすらと施されている。「春来たりなば夏遠からず」どころかもう冬の入り口まで来てしまったようだ。
朝霧という恵まれた自然の環境の中で、四季を身体に感じながら、特に生まれた場所を一歩も動くことなく生涯を終わる植物たちを身近な存在として過ごす日々は、余りにも忙しく動き回る現代人としての生き方を問い直す時間でもあるようだ。これから迎えようとしている冬は何を運んで来てくれるのだろうか。待ち遠しいような不安なような昨今ではある。

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