静岡県立朝霧野外活動センター
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本当の価値(ねうち)



「森からの道」(内山節・新潮選書)という本にこんなことが書かれてあった。『ある村の村長さんが、自分の村にある樹齢何百年という森の木を一番高く売る方法を思案した。いい考えが浮かばないので、専門の先生に尋ねたら・・・先生は少し考え、計算器を取り出し慎重に計算をして、にっこり笑ってこう言った、「その木を全部表札にして売り出したら一番高く売れますよ」』と。                              
 これはとびっきりのアイロニーとエスプリの利いた、相当に高度な「小噺」と言える。銘木の表札なら高く売れるに違いない。しかし、数百年もの春秋に耐えて森の中で育ってきた木の生かし方ってそんなもの???と考えてしまう。 
家の大黒柱になってこれから何百年もの間、家を支えていく可能性を秘めた大木が、短く切り刻まれて磨かれ、表札になった方が良いのだろうか。
ものの価値を一つの尺度で測ることはシンプルで分かりやすいけれど、その弊害は様々な方向に発展する。
有名校へ入ることが受験生の価値を決めるとばかりに、受験技術だけを身に付けようとする受験生。利潤が企業の価値を決めるとばかりに、インサイダー取引だって厭わない経営者。
 こうした価値の評価がまかり通ると、どこかの映画の宣伝のように「総制作費○○億円!」などとやたら金をかければ素晴らしいとでも言いたげなコマーシャルがまかり通り、そんなにお金をかけたのだったら素晴らしいに違いないから見に行こうという観客がいるのも困ったものである。
 私たちの測る値うちは、金額とか人数とかだけではなく、本来の可能性をどれだけ引き出し、それを使い得たかということであると思いたい。
「森からの道」の話が良く出来た小噺だなと笑ってしまえばそれまでだが、何だかとても深刻に考え込んでしまったのだった。

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